📕 おとなの教養3 私たちは、どんな未来を生きるのか?
この本の趣旨
未来を予測し行動できるようにするための教養を身に着ける
現在の延長線上に未来があるわけではない。
予期せぬ事態はいつだって起こり得る。
過去・現在の出来事や失敗を踏まえ、未来に起こり得る事象の予兆をとらえられるような教養を身に着けることが目的。
第一章 気候変動
地球温暖化による「環境難民」が二億人を突破
- 気温上昇によるマラリア感染発症地域の拡大(このままだと日本も対象に…)
- 海面上昇による居住区域の現象 → 難民の発生
京都議定書からパリ協定へ
- 京都議定書 ( 1997年 )
温室効果ガスの削減に初めて触れたが、対象は先進国のみ
日本は一応目標達成できたけど、リーマンショックのおかげ
石油依存の強かったアメリカが2001年に離脱
アメリカ離脱と途上国不参加により、あまり効果がなかった
- パリ協定 ( 2015年 )
温室効果ガスの排出量を今世紀後半までに実質ゼロへ
全世界の国々が対象
アメリカ:オバマで参加→トランプで一時離脱→バイデンで再参加
中国:2060年までに実質ゼロ、ガソリン車製造販売2035年までに禁止
英:2030年までにガソリン車、2035年までにハイブリッド車の製造販売禁止
これから日本はどうする?
- 菅総理が「2050年までに実質ゼロにする」宣言
トランプの間は共和党が環境対策に積極的でなかったのもあり、沈黙していた
バイデンになり環境対策を重視するようになったので、宣言を行った - 再生可能エネルギーだけでは実質ゼロは不可能
原子力発電の拡大が前提 - 日本版グリーン・ニューディールの実現を目指せ
オイルショック時に日本の低燃費車が世界を席巻した
気候変動問題に対する技術開発に本腰を入れられるかが未来を左右する
中国はいまや、太陽光発電の世界シェア1~3位を独占しているとのこと。日本は資源が少ない国だから技術力で戦っていく必要があるのに、他国に遅れをとっていてはマズイのではと思う。かつて低燃費車で世界を席巻した時は、自動車メーカーに対して国も支援をしたのだろうか?今後自動車に限らず、気候変動問題に取り組む企業や研究に対して、国から支援するような仕組みづくりができるとよいと思う。(もうある?)
第二章 ウイルスと現代社会
ヨーロッパにおけるペストの流行
第一次世界大戦とスペイン風邪
- アメリカで発症、戦地に送り出した兵士を経由してヨーロッパでも感染拡大
- 戦争参加国は感染症のことを公表せず、不参加のスペインが最初に公表したことからスペイン風邪と呼ばれるように
- 第一波・第二波・第三波まで発生
第一波:感染力は強いが重症者は少ない
第二波:感染力は弱まったが、特に若者に重症者が増えた
「サイトカインストーム」と呼ばれ、強い免疫力によってウイルスだけでなく正常な細胞まで破壊してしまい、重症化してしまう事象 - 戦闘で亡くなった兵士よりも、スペイン風邪で亡くなった兵士の方が多かった
- 第一次大戦後、フランスが莫大な賠償金をドイツに請求した
国内の経済混乱を恐れたアメリカ大統領が阻止しようとしたがスペイン風邪で寝込んでしまい阻止できず。ドイツは賠償のためお金を刷りすぎてハイパーインフレになり混乱。ヒトラー台頭と第二次世界大戦のきっかけとなったとも・・・
新型コロナウイルス ( COVID-19 )
- ウイルスは自分の力で増殖できないので、生物(細胞)に入って増殖しようとする
- DNAウイルスは変異しないので撲滅しやすいが、RNAウイルスは変異する
- 通常のワクチンは病原体の力を弱めて注射し、体内に抗体を作る
- コロナウイルスワクチンは「人間の細胞に入り込むための遺伝子情報」から作られるため、通常のワクチンと異なり悪さをしない(人工的に作られた偽ウイルス)
感染防止と人権のバランス
- 中国は独裁的な国家体制であったために即座に感染拡大の封じ込めに成功
- 民主主義国家で統制をとるには、国民からの政府への信頼がキモ
- 政府が説明責任を果たし、国民によりそった姿勢でいられるか・・
日本でコロナの感染拡大を続けているのも、いくら政府や自治体、マスコミが自粛を呼び掛けたところで「オリンピックやってたんだし、なんで自分達が我慢しなきゃいけないのか」「若者は重症化しないんだしワクチン打たなくてもよくない?」といった考えがはびこっていて、政府への不信感が根底にあるからのようにも感じられる。マスコミが危機感を煽っても、マスコミへの不信感もあるので信じない人も一定数いるように思える。危機感の薄い国民も態度を見直した方がいいのは間違いないけど、政府やマスコミも不信感を持たれている現状を改善した方がいい。政府は説明すべきところは説明して、マスコミは情報をえりすぐりせずにありのままを伝えていく姿勢を見せて、お互いに歩み寄ることが大切なのではと思う。
第三章 データ経済とDX
GAFAの台頭
- プラットフォーマーとして地位を確立しているGAFA
利用者が増えれば増える程サービスが向上するため、GAFAによる寡占状態となっても独占禁止法に抵触しない - DX ( デジタルトランスフォーメーション )
「デジタル技術が、生活のあらゆる面に作用し影響を与える変化」と定義
5Gによって、収集対象データが増えてGAFAがもっと強くなる - GAFAの事業拡大による貧富の差の拡大
GAFAが様々な事業に手を広げることで、その他の会社が弱体化し、貧富の差が広るという指摘も。経済を回す中間層が減ってしまうことで資本主義が継続できなくなる可能性もあり、今後のGAFAの動向に注目。
DX後進国の日本
データの悪用・乱用
- ケンブリッジ・アナリティカ事件
Facebookの個人情報を入手し、1人ひとりの性向や志向にあわせた選挙マーケティング活動を実施 - 中国のセサミクレジットと監視体制
セサミクレジットでは、個々人や企業に対して信用度ポイントを付与
政府と結びついてしまったら、反政府運動へ参加したらスコアが下がるなど監視社会になってしまう懸念も・・・? - 個人情報保護とデータ収集
データの悪用・乱用を防ぐためには適切な規制が必要だが、やりすぎるとデータが集まらなくてデジタル化が進まなくなる(マイナンバーカードがいい例)
国民が政府を信頼していればデータを提供するハードルは下がるはず
「DX(デジタルトランスフォーメーション)」というキーワードは、会社では入社当初(10年位前)からいわれてきていたけど、実際収集したデータを十分に活用しきれているかというと疑問はあるし、まだまだ改善できるところは沢山あると思う。(実際どれほど会社の経済活動で活用できているのかあまり把握できていないけど…)
国としては本当にデジタル化が遅れてるなっていう印象。いまだに役所に行かないと手続きできないことや郵送必須の事柄が多すぎる。国のシステムのデジタル化おおいに賛成だけど、例のオリンピックの時みたいに癒着のある企業にシステムを開発させて無駄に予算をかけるのだけはやめて欲しい。そういった意味では、今月から発足したデジタル庁の活動には期待しているし、今後日本のデジタル化が世界に追い付き追い越してくれるといいなと思う。
第四章 米中新冷戦の正体
米中新冷戦 = 経済力・安全保障・資源を軸
- 貿易面
アメリカの対中国の貿易赤字により、2018年に対中輸入関税率を増加
これに対抗して中国も対米輸入関税率を同率増加 - ハイテク面
ファーウェイの創始者が元人民解放軍出身だったため、中国への情報流出を恐れたアメリカがファーウェイ製部品の輸入を禁止
ファーウェイ製部品を使った製品を作る企業とアメリカ政府との取引も禁止
東西冷戦 = イデオロギー(資本主義 vs 社会主義)を軸
- 第二次世界大戦のヨーロッパ占領地域の区分けが発端
第二次世界大戦ではアメリカ・ソ連は仲間だったけど、ヨーロッパ西側をアメリカが、ヨーロッパ東側をソ連が占領することになったのが冷戦の発端 - ヨーロッパ東側の国への干渉をやめなかったソ連
ドイツからの侵攻がトラウマのソ連は、国境付近の国を味方にしたかった
拡大路線のロシアに対して、危機感を覚えたアメリカは「トルーマン・ドクトリン(資本主義 vs 社会主義)」を宣言
一帯一路構想の中国
- アメリカ抜きの中国経済圏の確立を目指す
一路(海):中国~東南アジア~インド~アフリカ~ヨーロッパ
一帯(陸):中国~中東~ロシア~ヨーロッパ - 債務の罠による影響力拡大
一帯一路構想の経路上の途上国に資金を提供し、借金を負わせる
途上国は借金を返せず、中国に運営権を渡すことに・・・
新冷戦下での日本
- 中国が力をつけるまではアメリカの傘下で黙っていればよかった
- アメリカの味方・中国の味方という単純な考え方ではダメ
安全保障面ではアメリカに大きく依存し、経済面では中国に大きく依存している - 「どうする」ではなく「どうあるべき」という軸で立場を考える必要あり
新冷戦の発端となったアメリカの貿易赤字。これって対日貿易赤字の時と似てるなって思った。日本は過去の経緯もあってアメリカには強く出れないし、貿易面でも大きく依存してたのもあったと思うけど、結果的に日米で対立するってことにはならなかった。でも中国はアメリカに対して強気な姿勢で対抗していて、それだけ成長してきて力をつけて自信もついてきているということでもあるのだなと思う。アメリカのおかげで今の平和な日本があるのだという認識だし、中国のおかげで日本経済成り立ってる面もあるという理解だから、どちらかの味方するとか傘下に入るとかじゃなくて、どちらともうまく付き合えたらいいなと思う。
第五章 人権・LGBT差別
BLM運動 ( Black Lives Matter )
LGBT差別問題
アイデンティティ政治
島国の日本では、外国人が少ないので人種差別というのはあまりピンとこない。(日本語がマイノリティ言語なので日本人以外が入ってこないというのもあるのかな?)ただ、電車や街中で外国人を見かけたら、その人が黒人だろうと白人だろうと、話しかけられたらどうしよう、とか意識はしてしまう。アジア系の人は珍しくないのであまり気にならないけど、こうやって意識してしまうのも人種差別になるのだろうか・・・?
LGBT差別については、法律で同性婚を認めてなかったり、学生の頃などはオープンにするとからかわれちゃうような空気はあると思う。ただ、大人になってからLGBTの人をからかったり差別したりする人は、逆にその人が白い目でみられるような。子供のころから多様性を受け入れられるように、社会全体で教育していければよいのではと思う。
第六章 ポスト資本主義
世界の富豪上位8名の資産が、世界人口の半分の下位50%の資産とほぼ同額
- 資本主義による貧富の格差の拡大
- トマ・ピケティによる「21世紀の資本」では、資本主義によって格差が拡大することを明示的にデータで示した
- 資本運用による増加率 > 労働による増加率
つまり、資本を持っている人ほど、よりお金を得ることができる
格差が広がると経済が成長しない
- かつては「一億総中流」だった日本も、今は格差が広がりつつある
- 貧困な家庭では十分な教育を受けれない → 社会に出ても低賃金 の悪循環
- 格差社会解消のための資産課税
所得に対する課税ではなく、株の売買による利益、不動産、財産に対する課税 - ベーシックインカムによる貧困対策
世界でお試し導入が始まっている
日本では、全ての国民に月7万円を配布する構想で議論が進んでいる
年金や雇用保険などの社会制度、生活保護制度を撤廃することで実現?
メリット:ベンチャー企業発足や消費活動の活発化、家族が増えれば増える程お金が入ることによる少子化対策が見込まれる
デメリット:働く意欲の低下や「小さな政府(何かあったとしても自己責任)」となる懸念
”世界の富豪上位8名の資産が、世界人口の半分の下位50%の資産とほぼ同額” …これが衝撃的すぎる。GAFAのトップとか石油王とかなのだろうか。
日本でも格差があるというのは実感としてあって、特に有名なYouTuberが数百万・数千万・時には億単位で買い物をしている動画を見るにつけ、格差を実感する。彼らは税金対策で高い買い物してるって話だけど、税金対策でたいしてほしくもない物にお金を使うなら税金払って国民(視聴者)に還元してくださいとも思ってしまう・・・
所得税や住民税で累進課税を進めるのも結構だけど、この本にあったように、「保有する資産」に対してももっと課税を進めて欲しい。年収1000万円で奨学金返済あり・土地と持ち家なし(or住宅ローンあり)の人と、年収400万円で借金なし・土地と持ち家(親からの資産)ありの人とで、生活の苦しさってどれくらい違うんだろうか。税金負担は、前者の方が多いように思うけど。
📕「好き」を「お金」に変える心理学
「好き」を「お金」に変える心理学
第一章
✖ お金を使うのは悪いこと → 選択と集中が大事
- お金を使うときに「投資」と「消費」を分けて考える
- 投資は将来につながる使い方で、消費は一時的な快楽のための使い方
- 好きなことには惜しまずお金を使う ( 選択と集中、メリハリ )
✖ 貯金が成功の近道 → 貯めるだけでは意味がない
- 目的のない貯金をするくらいなら、自己投資に使う
- (老後に身に余るお金を持っていてももったいない、使うべき時に使う)
- 30代のうちは勉強や経験にお金を投資する
✖ お金は使うとなくなる → 好きなことにお金を使い仕事にする無限ループを作る
- 節約、貯蓄のために好きなことを我慢しない
- 「お金」「好きなこと」「仕事」がぐるぐる回る無限ループにする
第二章
STEP0:自分が「本当に好きなこと」を見つける
フロー体験を積み重ねることで「好きなこと」にかわる。
フロー体験を得るには、以下の要素を意識する。
- 明確な目的を持てる(作業内容と納期の理由を上司に聞く)
- 集中できる
- 我を忘れられる
- 作業中、時間が短く感じられる
- 効果がすぐわかる(自分の中で小さな課題を設定し、解決していく)
- 難しすぎず、易しすぎない
- 自分で状況をコントロールできる
- 活動自体に価値を見出すことができる
- 他者に妨害されない
STEP1:「好きなこと」を極めていく
「やるべきこと」ではなく「好きなこと」に時間をかけ、フロー体験を積み重ねる。
小さな課題を設定する、邪魔されない環境を整える等、集中できる工夫をする。
第三章
STEP2:「好きなこと」を収入に結び付ける工夫をする
人に知ってもらう
- 「好きなこと」「得意なこと」「それによってできること」を人に知ってもらう
- アピール&コミットメント(相手の需要にコミットすることをアピール)する
- 好きなことを一言で表現できるようにする
人を助ける
- ギブ&ギブの精神(返報性の法則)
- 小さなプレゼントや手書きのメッセージを贈る
「好きなこと」で「貢献」する
- 好きなことで貢献し、自分の好きなことをアピールする
- 好きなことを通じて相手を助け、人脈を広げる
「弱いつながり」を大事にする
- 誰かを知るよりも、知ってもらうことを大事にする
- 知り合った相手の「顔」「名前」「特徴」を覚えておく
決断は「直感」を信じる
- チャンスと思ったら直感を信じて1歩踏み出してみる
- 理由がなくても「いい!」と思った事実を尊重する
STEP3:「好きなこと」で得た収入を再投資する
1.モノより経験を買う
- モノよりも好きなことを伸ばせる「経験」にお金を使う
- 高級車やブランド品等にお金を使わない(承認欲求の罠にはまらない)
- 知識やスキルなど、奪われることない財産を身に着ける
2.価格よりも価値を見る
- 投資した以上の利益を手に入れるという意識を持つ
- 回収できないようなものにはお金は使わない
3.本に使う
- お金は自分なりの価値の物差しを持って使う
- お店では「自分だったらいくらで買うか」を考えるようにする
4.自分より他人に使う
- ギバーの人の行動を真似して、自分がギバーになることを目指す
- テイカーよりも、最終的にギバーの方が徳をする
5.チームを作る
- 「好きなこと」を仕事にし、続けていくためにチームを作る
- 自分とは異なる能力を持った仲間を選ぶ
6.時間を買う
- 時間はお金よりも尊いということを理解する
- 自分の使える時間のうち、20%を「好きなこと」に使う
7.力を最大化する
- 「好き」になにを掛ければ、誰もやっていない仕事になるか考える
- 「好きなこと」に関する今の自分の能力を把握する
- 「好きなこと」をどのように活用すれば他人の役に立つのか考える